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イネのQTL:イネ穀粒の粒幅および粒重に関するQTLは未確認のRING型E3ユビキチンリガーゼをコードしている

Nature Genetics 39, 5 doi: 10.1038/ng2014

穀物の収量にとってきわめて重要な要素である粒重は、作物の天然変異に由来する量的形質遺伝子座(QTL)に支配されている。しかし、粒重の調節でQTLが担っている分子的役割は十分には解明されていない。本研究では、イネ穀粒の粒幅および粒重を支配する新たなQTLであるGW2をクローン化し、その特徴を解析した。データにより、GW2はE3ユビキチンリガーゼ活性をもつ従来確認されていなかったRING型タンパク質をコードしていることが明らかにされた。E3ユビキチンリガーゼ活性はユビキチン・プロテアソーム経路による分解で機能することが知られている。GW2の機能を喪失させると細胞が増加して小穂外皮(の幅)が大きくなり、穀粒の乳液充填速度が高まって粒幅、粒重および収量が向上した。この結果は、プロテアソームに基質を向かわせて調節的なタンパク質分解を行うことによってGW2が細胞分裂を抑制的に調節することを示唆している。GW2の機能解析は種子発生機構に関する洞察をもたらすものであり、穀物の収量を向上させるためのツールとなる可能性がある。

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