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Wntシグナル伝達:基底小体の異常によってプロテアソーム機能が損なわれ、細胞内Wnt応答に異常をきたす

Nature Genetics 39, 11 doi: 10.1038/ng.2007.12

一次繊毛と基底小体は進化的に保存された細胞小器官で、細胞内環境と細胞外環境とのコミュニケーションを仲介する。本論文では、基底小体タンパク質をコードするbbs1bbs4およびmkks(別名bbs6)が、ゼブラフィッシュでの収斂伸長に必要であること、およびwnt11wnt5bと相互作用することを示す。bbs1bbs4およびmkksの転写産物の抑制によって、ゼブラフィッシュ胚および哺乳類繊毛細胞の両方でT細胞因子(TCF)依存的な転写の亢進を伴うβカテニンの安定化が引き起こされる。この異常は、細胞質の微小管ネットワークの化学物質による阻害によってではなく、軸糸キネシンのサブユニットであるKIF3Aのサイレンシングによって表現型が模写される。これらの結果は、プロテアソームによる分解異常に一部起因している。BBS4の抑制によって、プロテアソームへの局在が異常を示し、同時に細胞質βカテニンの蓄積が引き起こされる。つまり、我々のデータは、基底小体が、タンパク質の選択的な分解を介して、Wntシグナル伝達による表現型を調節する重要な因子であることを示し、また、この系の異常がヒトの繊毛性疾患に特徴的な表現型に寄与する可能性を示唆する。

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