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遺伝子発現:ゲノム全体の遺伝子発現を明らかにするゲノム規模の関連研究

Nature Genetics 39, 10 doi: 10.1038/ng2109

喘息の発端者を介し、その家系から集めた400人の子どもにおいて、遺伝子発現に与える多型の影響を示すゲノム規模のマップを作成した。エプスタイン・バーウイルスによって形質転換させたリンパ芽球様細胞株を用いて、408,273個のSNPの遺伝子型を見いだし、20,599個の遺伝子に相当する54,675個の転写産物を測定して、発現QTL(量的形質遺伝子座)を明らかにした。その結果、6,660個の遺伝子に相当する15,084個の転写産物(28%)が狭義の遺伝率(H2)>0.3をもつことを見いだした。我々は、これらの形質に対してゲノムワイドな関連解析を行い、ピークとなるロッド値が3.68∼59.1の間であることを見つけた。最も遺伝しやすい形質は、遺伝子オントロジーの項目でいうと、変性タンパク質(シャペロニンや熱ショックタンパク質)への応答、細胞周期進行の調節、RNAプロセシング、DNA修復、免疫応答およびアポトーシスで、これらの分野にきわめて豊富に存在した。これらの遺伝子の発現を調節するSNPは、変性疾患、悪性腫瘍、感染、および炎症の研究で候補としてあげられるものである。複雑な疾患の遺伝子座のマッピングに、我々の知見を容易に利用できるように、ダウンロード可能なデータベースを作成した。

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