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ヒトゲノムの重複構造をもとにした、過去に同定されなかったゲノム疾患の発見

Nature Genetics 38, 9 doi: 10.1038/ng1862

ゲノム疾患はゲノムの部分的な重複と、それに挟まれた領域の存在と、その結果繰り返されるゲノムの再編成によって特徴づけられる。ゲノムの重複構造をもとにした130の領域を、これまで記載のないゲノム疾患の候補と仮定して検索を行った。精神遅滞のある290症例をBACアレイ比較ゲノムハイブリダイゼーションを用いて調べ、病因性の16のゲノム再編成を同定した。そのなかには、新規(de novo)に獲得された17q21.31の微小欠失が4人の患者で見つかった。オリゴヌクレオチドアレイを用いて、この微小欠失の切断点を詳細に検討したところ、長さ478 kbの重要領域が明らかになった。この領域には、4人の患者すべてで欠損している6つの遺伝子が含まれている。この欠失とその他の4つの病因性ゲノム再編成の切断点を1q21.1、15q13、15q24、17q12にある重複領域部分にマッピングした。この領域は、ゲノム再編成が繰り返される場所であることが示唆される。17q21.31の欠失と共通して、これらの切断点領域は正常人においてコピー数多型を示す部位でもあり、このことから、これらの領域がもともとゲノム不安定性をもっていることが示唆される。

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