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近交系マウスにおけるゲノムワイドの関連解析によって同定された肺腫瘍感受性の候補遺伝子

Nature Genetics 38, 8 doi: 10.1038/ng1849

近交系マウスの高密度SNPマップ(20kbあたり約1 SNP)を使用し、肺腫瘍感受性についてのゲノムワイドの関連解析をおこなった。これまでの連鎖研究で同定した肺腺腫感受性1(Pas1)遺伝子座の位置を再確認し、さらにこの量的形質遺伝子座(QTL)を0.5 Mb以下の領域に絞り込むことができた。この領域に存在する少なくとも2つの遺伝子、Kras2(Kirsten rat sarcoma oncogene 2)とCasc1(cancer susceptibility candidate 1、別名Las1)が有力な候補遺伝子である。Casc1ノックアウトマウスを用いた発癌試験によって、Casc1欠損マウスは化学物質誘発性の肺腫瘍に感受性であることが明らかになった。また、我々は肺腺腫の発症に関与するさらに3つの遺伝子座も見いだした。これらの候補遺伝子座の1つの解析から、今まで詳しい特徴が知られていなかった遺伝子Lasc1に非同義置換(D102E)があることを発見した。また、Lasc1 Glu102対立遺伝子座が肺腫瘍細胞の増殖を特異的に促進することを見いだした。本論文の結果から、既知のQTL領域をさらに絞り込むために、実験用マウスの高密度SNPマップが使用できる可能性を示し、複雑な形質の遺伝的な決定因子を同定するものである。

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