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線虫において遺伝子の相互作用を系統的にマッピングすることにより、多様なシグナル伝達経路に共通の修飾因子を同定した

Nature Genetics 38, 8 doi: 10.1038/ng1844

病気に対する感受性を含むほとんどの遺伝的な形質は、多数の遺伝子間の相互作用により影響を受ける。しかし、実験的に解析しうる遺伝子相互作用はほんのわずかしかなかったため、遺伝子がどのように相互作用するかに関する理解はほとんど得られていない。我々は、線虫においてRNA干渉を使い、約65,000の遺伝子ペアが遺伝的に相互作用するかどうかを系統的に調べた。ヒトの病気で変異しているシグナル伝達経路の遺伝子の相互作用を約350同定した。そのなかには、EGF/RasやNotch、Wnt経路の構成要素なども含まれる。最も注目に値するのは、多くの遺伝子と高度に連結している「ハブ」遺伝子というクラスを同定したことである。ハブ遺伝子は、それを不活性化すると、多くの異なる遺伝子の表現型に変異があらわれるものである。これらのハブ遺伝子は、すべてクロマチンの調節因子をコードしており、ハブ遺伝子としてのはたらきは動物間で保存されているように見受けられる。我々は、これらの遺伝子が遺伝的変異の一般的なバッファーとして作用し、これらのハブ遺伝子が、機能的に関連していない複数のヒト遺伝病において修飾遺伝子としてはたらいているのであろうということを提唱する。

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