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癌においてみられるコピー数に依存しない局所的な転写調節の異常

Nature Genetics 38, 12 doi: 10.1038/ng1923

癌においては、転写調節の異常を引き起こす遺伝的およびエピジェネティックな変化が見いだされている。DNAコピー数の変化から明らかなように、遺伝的な機構は、ただ1つの遺伝子に影響する場合もあれば、いくつかの隣接する遺伝子を含んだ領域に影響する場合もある。最近、遺伝子発現のエピジェネティックな抑制も領域全体に影響を及ぼしうることが報告されている。それは、長距離にわたるエピジェネティックなサイレンシングである。局所の遺伝的な変化を同定する技術にはさまざまなものがすでに存在するが、局所のエピジェネティックな変化を概観するための大規模な解析はまだ行われていない。本論文では、一連の膀胱癌に対して、トランスクリプトームの相関マップ解析とアレイCGHデータを組み合わせて使用し、こうした機構に影響を受けやすい領域を網羅的に検索した。1つの候補領域の存在については、実験レベルでも証明することができた。このことは、DNAのメチル化なしに、隣接する遺伝子の発現喪失を引き起こすヒストンのメチル化があることを示している。

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