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大腸菌の比較ゲノム解析は実験室レベルの時間尺度における細菌の進化の観察を可能にする

Nature Genetics 38, 12 doi: 10.1038/ng1906

我々は、大腸菌(Escherichia coli)の全ゲノム塩基配列比較解析(リシーケンシング)を行うことで、グリセロール培養培地への適応過程において、選択的増殖優位性を与えた突然変異が生じ、固定される経過を観察した。5種類の大腸菌の菌株において13個の異なる新たな(de novo)突然変異を同定し、適応に至る44日間にわたって突然変異が固定される過程を観察した。我々は、特定部位に1種類、2種類、または3種類の突然変異を導入した変異株を作製し、これらの変異株が進化を経た菌株と一致する増殖速度を示したことから、観察された自然突然変異が適応度を向上させていることを証明した。この全ゲノムを対象とした新しいアプローチが成功を収めたことは、とりもなおさず、進化のリアルタイムにおける研究が、多種多様な条件下において、実行可能であることを示している。

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