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SARSへの感染しやすさに関係する遺伝子多型

Nature Genetics 38, 1 doi: 10.1038/ng1698

Nature Geneticsの1月号に掲載される論文では、特定の遺伝子多型の組合せを持つ人がSARSウイルスに感染しにくいことが報告されている。SARSとは、急性呼吸器疾患の一種で、SARS-CoVというコロナウイルスへの感染を原因とする。  香港大学(中国)のChen-Lung S Linたちは、2003年の香港でのSARS大流行の際にSARS に感染した285人と3つの非感染者グループ(対照群)を調べた。その結果、L-SIGNという受容体分子の細胞外領域にある反復配列の特定の組合せを有する者のSARS感染リスクが低いことがわかった。L-SIGNは、SARS-CoVと結合することが、これまでに明らかになっている。また、L-SIGNは、HIVやSIVとも結合することも既に実証されており、これらのウイルスや結核菌への感染の媒介に関与している。今回の発見は、SARS-CoVが宿主である人間に感染するメカニズムに関する新知見をもたらし、香港とその周辺地域でのSARS流行の本質について解明を進める上で役立つかもしれない。

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