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体細胞変異をもつ白血病誘発性転写因子GATA1の発生段階選択的な効果

Nature Genetics 37, 6 doi: 10.1038/ng1566

造血系転写因子GATA結合タンパク質1(GATA1)における後天的な変異は、一過性骨髄増殖性疾患(TMD、一過性白血病とも呼ばれる)やそれに関連する急性巨核芽球性白血病(DS-AMKL、DS-AML M7とも呼ばれる)を伴うダウン症候群のほとんどすべての患者の巨核芽球において認められる。これらの変異は、N末端側が切断された変異型のGATA1タンパク質(GATA1s)の生産を誘導する。GATA1sの生物学的特性とそのDS-AMKLおよびTMDへの関連を理解するために、我々は遺伝子ターゲティングを利用し、GATA1sを発現するGata1対立遺伝子をもつマウスを作り出した。我々は、GATA1sの優性の作用が、特有の、以前には認識されていなかった卵黄嚢および胎仔肝臓前駆細胞の過剰増殖を引き起こすことを見いだした。これは、TMDの一過性の性質およびDS-AMKLが幼児に限定されていることを説明するものである。我々の観察は、乳児期および幼児期の他の白血病における標的細胞が、成人性白血病における標的細胞と異なっている可能性を提起し、特定の腫瘍性タンパク質とその標的となりうる細胞間との相互作用を強調するものである。

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