Technical Report

BACマイクロアレイを用いたエピゲノム分析による、進化上保存されているSHANK3の組織特異的メチル化の検出

Nature Genetics 37, 6 doi: 10.1038/ng1563

CpGアイランドはヒトとマウスの全遺伝子の半分に存在し、通常はプロモーターやエキソン部分と重なっている。我 Xは、BACクローンアレイとメチル化感受性制限酵素Not・を用いて、ゲノム全体におけるCpGアイランドのメチル化の状態を高精度で分析する方法を開発した。本論文では、この方法の精度と特異性を示す。コンピュータを用いてすべてのNot・部位をマッピングすることで、メチル化の状態を全ゲノムにわたって1塩基の精度で明らかにすることが可能である。また本法により、異なるメチル化感受性制限酵素BssH・を用いたマイクロアレイ分析も可能であり、応用の幅が広いという特徴も示す。我々は、ヒト正常組織において組織特異的なメチル化を受けている新たなCpGアイランド遺伝子座位の同定・確認を行った。CpGアイランドのメチル化の状態は、いくつかの遺伝子の遺伝子発現と関連がある。このような遺伝子の1つに、ニューロンのシナプス後肥厚部における構造タンパク質をコードしているSHANK3がある。SHANK3の異常はヒトの22q13欠失症候群の原因であると考えられる。SHANK3のCpGアイランドの組織特異的メチル化パターンは、マウスおよびラットにおいても保存されている。

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