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SECISBP2の突然変異は甲状腺ホルモン代謝の異常を引き起こす

Nature Genetics 37, 11 doi: 10.1038/ng1654

UGA終止コドンの書き換えによるセレノシステイン(Sec)の取り込みは、特異な種類のタンパク質をつくり出す。tRNASecを欠くマウスはin utero(子宮内)で死亡するが、セレンタンパク質合成に携わるその他の構成因子のin vivoにおける役割は明らかではなく、Secの取り込みの欠損はヒトでは報告されていない。脱ヨウ素酵素は、甲状腺ホルモン代謝に関与するセレンタンパク質である。我々は、同胞7人のうち、甲状腺ホルモン代謝の異常の臨床的証拠を示す3人の患者を同定した。患者の線維芽細胞はDIO2酵素活性の低下を示したが、この低下はDIO2遺伝子座に連鎖していなかった。DIO2の合成と分解に関与する遺伝子の連鎖解析を系統的におこない、SECISBP2SBP2ともいう)のホモ接合性ミスセンス突然変異によって生じる、Sec取り込みの遺伝性欠損を同定した。よく似た表現型を示す血縁関係にない小児1人は、SECISBP2における突然変異に関して複合ヘテロ接合性であった。SBP2はセレンを含んだタンパク質の合成に対して上位であるので、これらの欠損はセレンタンパク質全般に影響を与える。SBP2機能が完全に損なわれてはいない場合には、その表現型は軽度であると考えられる。

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