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H19DMDにおけるDNA高メチル化とエンハンサー抑制活性の拮抗関係はCpG変異によって明らかとなる

Nature Genetics 36, 8 doi: 10.1038/ng1399

H19-Igf2遺伝子座におけるインプリンティングを受けた発現は、親の由来により区別してメチル化されたドメイン(differentially methylated domain;DMD)に依存しており、このドメインは母親由来ではメチル化感受性インシュレーターとして、父親由来では高メチル化領域として働いている。DMD内の4つの反復配列は、母方の対立遺伝子ではCCCTC結合因子(CTCF)と結合し、父方の対立遺伝子にメチル化を誘導すると言われてきた。我々は、DMDへ点突然変異を導入し、CTCFの結合活性とエンハンサー抑制活性は保持したまま、そのCpG反復配列を欠失させた。この変異を母親から受け継いだ場合、H19の発現とIgf2のインプリンティングは正常であり、これは、DMDがインシュレーターとして作用するという考えに矛盾しない。逆に父親から受け継いだ場合、DMDのメチル化の維持ができなくなり、その結果、両方の対立遺伝子からH19が発現される。また、父親から受け継いだ変異対立遺伝子では、in vivoでインシュレーターが働き、Igf2の発現が抑制された結果、新生仔マウスのサイズが40%減少した。したがって、DMD内の9つのCpG変異によって、H19DMDが親特異的な2つの役割をもち、その2つ、すなわちメチル化の維持とインシュレーター構築が互いに拮抗することが明らかとなった。

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