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視細胞のレチノールデヒドロゲナーゼをコードするRDH12の変異は小児期発症の重症網膜ジストロフィーの原因である

Nature Genetics 36, 8 doi: 10.1038/ng1394

我々は、常染色体劣性小児期発症の重症網膜ジストロフィーの患者15人を含んだ血縁関係にある3つのオーストリア家系を同定した。この疾患は視細胞の変性を特徴とし、遺伝的に不均一な疾患である。一塩基多型のマイクロアレイ解析による全ゲノムスキャンから、発端者のハプロタイプを同定し、この型の網膜ジストロフィーに関連する遺伝子を含む染色体14q23.3-q24.1に1.53cMの重要な区間を決定した。RDH12はこの領域に位置決定され、視覚サイクルにおいて機能すると考えられるレチノールデヒドロゲナーゼをコードしている。RDH12におけるホモ接合性の677A→Gトランジション(結果としてY226Cとなる)が、今回調べられたこれらの家系の全患者に認められた。同様の変異が散発性の網膜ジストロフィーのオーストリア人患者2人においても認められた。我々は、網膜ジストロフィー患者(オーストリア人は含まれない)の89人のうち3人において、RDH12にさらに別な変異を同定した。5塩基の欠失(806delCCCTG)およびトランジション565C→T(結果としてQ189Xとなる)が、それぞれホモ接合性で、また、146C→T(結果としてT49Mとなる)と184C→T(結果としてR62Xとなる)が複合へテロ接合性で起こっていた。COS-7細胞に発現させた場合、レチノールとレチナールの異性体間を相互転換させる働きに対して、Cys226変異体ではその活性が減少し、Met49変異体では異常な活性があらわれた。RDH12に変異をもつ患者における重度の視覚障害は、他のレチナールデヒドロゲナーゼをコードするRDH5の変異によって引き起こされる白点状眼底患者の中程度の視覚不全ときわめて対照的である。我々の研究は、RDH12が網膜ジストロフィーに関連しており、視細胞において独自の重複性のない役割をもつ酵素をコードすることを示している。

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