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マルファン症候群におけるTGFBR2のヘテロ接合性変異

Nature Genetics 36, 8 doi: 10.1038/ng1392

マルファン症候群は、目、骨格および心臓血管系に主要な症状があらわれる細胞外マトリックスの疾患で、15q21.1のフィブリリン(FBN1)をコードする遺伝子の欠陥に関連している。このFBN1変異によらない第2のタイプ(マルファン症候群; OMIM154705)に関連する遺伝子座MFS2が、フランスの大家系(MS1家系)において3p25-p24.2にマップされることが報告されている。日本人のマルファン症候群の1患者において、3p24.1での染色体切断点が、TGF-β受容体2(TGFBR2)をコードする遺伝子を破壊することが見いだされ、TGFBR2は、MSF2遺伝子座におけるマルファン症候群関連遺伝子である可能性が導かれた。さらに、フランスの大家系MS1においてTGFBR2における1524G→Aの変異(同義のアミノ酸置換Q508Qを引き起こすと解釈される)が患者のみに同定され、転写解析でスプライシング異常を起こすことが明らかとなった。症例を追加し、血縁関係のない4人の発端者において、さらに異なる3種類のミスセンス変異を同定した。それらの変異は、細胞外マトリックス形成に関するTGF-βのシグナル伝達活性の機能喪失を引き起こした。これらの結果から、複数の悪性腫瘍において癌抑制遺伝子と考えられていたTGFBR2のヘテロ接合性変異が、遺伝性の結合組織疾患にも関連していることが示された。

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