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BubR1の不足は老化にともなう表現型の早期出現および不妊をマウスに引き起こす

Nature Genetics 36, 7 doi: 10.1038/ng1382

複製された染色体の正確な分離は遺伝的安定性の維持に不可欠であり、いくつかの有糸分裂チェックポイントにより厳密に制御されていると考えられる。哺乳類における、こういったチェックポイントの構成要素はこれまでに各種同定されているが、その生理的な重要性は大部分が明らかではない。本論文で我々は、スピンドル形成チェックポイントタンパク質であるBubR1の発現が低レベルの変異マウスでは、短命、悪液質性の小人症、脊柱後彎症、白内障、皮下脂肪の喪失、創傷治癒の低下などの多彩な早老症の特徴に加えて、体細胞染色体異数性の程度が徐々に増大していくことを示す。マウス胚性繊維芽細胞においてBubR1の発現を段階的に減少させると、異数性の増大と老化を招く。そして、雄および雌の変異マウスは、減数分裂時の染色体分離に異常があり、不妊性である。野生型マウスの自然老化では、精巣や卵巣などの複数の組織におけるBubR1発現の有意な減少が起こる。これらの結果は、老化と不妊の調節におけるBubR1の役割を示唆するものである。

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