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原核生物において水平移行した遺伝子にみられる偏りのある生物学的機能

Nature Genetics 36, 7 doi: 10.1038/ng1381

遺伝子の水平移行は、微生物ゲノムの多様性に寄与する中心的な機序の1つで ある。そこで我々は、原核生物種間での遺伝子の流れの全体像を明らかにするために、水平移行遺伝子とそれを渡したと推測される供与種を、塩基組成の学習モデルを用いたベイズ推定によって見つける方法を開発した。この方法によれば、各遺伝子の配列に対して平均事後確率値(水平移行指数)が得られ、水平移行指数が低い遺伝子は最近やって来た水平移行遺伝子であることを示している。我々は116の原核生物の完全ゲノム配列を解析し、その遺伝子領域のうちの14%が最近の水平移行によって生じたものであることを見いだした。このデータセットにもとづいて定量的に水平移行遺伝子の機能分類を行ったところ、それらは可動性遺伝因子を除き3種類、すなわち、細胞表面、DNA結合、病原 性に関連する機能に偏っていることを発見した。したがって、遺伝子移行のしやすさは、その遺伝子の機能に強く依存しているようである。

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