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ヒトゲノム全体にわたる組換え率の実質的かつ詳細なばらつきを示す証拠

Nature Genetics 36, 7 doi: 10.1038/ng1376

ヒトの組換え率のばらつきを詳細なレベルで解析することは、組換え過程に関する理解を深めるためにも、疾患関連研究の計画を立案する目的にも重要である。最新の遺伝地図から組換え率がメガベース単位で変化していくことは明らかであるが、その詳細な変化を家系分析により研究するのは容易でない。精子を用いたタイピング(遺伝子型決定)により、交差が頻繁に起こる1〜2kbのホットスポット領域が調べられているが、技術的な困難から研究例は多くはない。別法は、集団にみられる変異を利用して組換え過程の詳細な特性を推定する方法である。いくつかの解析例は多様性がブロック状にみられると報告しており、これは組換え率のばらつきを詳細なレベルで反映するものであると考えられる。ところが既存の方法では、それらを評価することは不可能であった。本論文では、これらの限界を克服する新規の統計学的手法を適用し、74の遺伝子における組換え率のばらつきパターンを詳細なレベルで推定した。我々は、遺伝子内および遺伝子間双方で広範囲にわたる組換え率のばらつきを見いだした。特に、組換えホットスポットはヒトゲノムによくみられる特徴であるが、本研究により対象遺伝子の47%(74のうち35)に実質的なホットスポットが存在することを示した。またさらに多くの遺伝子で、ある程度の組換え率のばらつきが見られることを明らかにした。G+C含有量および塩基多様性は局所的な組換え率と相関関係を示すが、一次塩基配列の特性はホットスポットの厳密な所在にまったく関係がない。

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