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マウスのX 染色体は、減数分裂時の性染色体不活性化による選択を受けない性依存性遺伝子に富む

Nature Genetics 36, 6 doi: 10.1038/ng1368

性染色体は性に特異的な選択という進化の力の支配下にある。あるモデルは、X染色体上には性差によって発現に偏りのある遺伝子が多く存在するはずであるとしている。このRiceの仮説のとおり、マウスのX染色体には精原細胞遺伝子が過剰にあり、ヒトのX染色体では性および生殖に関わる遺伝子が多く存在する。ところが、線虫やショウジョウバエのX染色体上には雄依存的な発現を行う遺伝子は少ない。本論文では、マウスX染色体上には精子形成遺伝子は相対的に少なく、雌依存的な遺伝子が多く存在することを示す。減数分裂の初期に精子形成過程が妨げられるSpo11-/-マウスを用いて、精子発達における遺伝子発現の経時的な変化を検討した。Spo11-/-が阻止する時期以前に発現する遺伝子はX染色体上に多くみられるが、精子形成の後期に発現する遺伝子は減少している。雄性減数分裂におけるX染色体の不活性化は、X染色体の脱雄性化を促す生物種共通の推進力である可能性がある。

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