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哺乳類細胞において自律的に動くLTRレトロトランスポゾンIAPの同定

Nature Genetics 36, 5 doi: 10.1038/ng1353

哺乳類ゲノムは、2つの主要なクラスのレトロトランスポゾンを含んでいる。1つは、長いあるいは短い散在性の核成分DNAであり、ゲノム全体の約30%にあたり、解析がよく進められている。もう1つは長い末端反復配列(LTR)レトロトランスポゾンである。後者は、エンベロープ遺伝子が欠けている場合があることを除いては、レトロウイルスがゲノム中に入り込んだプロウイルスと似ている。遺伝的解析によって、マウスにおいては後者のクラスのDNAが可動性をもち、LTRレトロトランスポゾンのIAP(液胞内型A粒子)ファミリーの転位の結果として高頻度で変異形質があらわれると確認された。本論文では、マウスゲノム塩基配列と効率的なex vivoアッセイ法を用いることによって、異種細胞集団において自律的転位に必要なすべての酵素タンパク質および構造タンパク質をコードする、機能しうるマスターIAPコピーを複数同定した。変異導入試験により、我々は3つの遺伝子gagprtpolのすべてがレトロ転位に必要であることを発見し、また形質転換された細胞内でIAP遺伝子産物が細胞内A型粒子として存在することを電子顕微鏡により同定した。これらの基本的なDNA配列は、エンベロープ遺伝子を欠いており、哺乳類において自律的に転位を起こすLTRレトロトランスポゾンとして同定された最初のものである。これらが高頻度でレトロ転移を起こすことは、これらが大きな細胞パネルにおいて安全に(非感染性であるという点で)有効に挿入変異を起こす遺伝的手法として使用可能なことを示している。

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