Letter

代謝経路プログラムの中でのジャストインタイム転写

Nature Genetics 36, 5 doi: 10.1038/ng1348

システム生物学の第一のゴールは、遺伝子発現を制御する転写ネットワークの設計原理を理解することである。我々は、GFPとLuxのリポーターライブラリーにもとづく、分単位の解像度と10%の精度をもつ系を用いて、生細胞で約100個の遺伝子のプロモーター活性を同時に測定した。大腸菌Escherichia coliのアミノ酸の生合成経路に焦点を絞り、過去に報告されていない経時的な発現プログラムと、分枝のない経路として酵素の順序が合致する発現の階層を同定することができた。本論文で、2つの設計原理がつきとめられた。すなわち、酵素が経路の始まりに近ければ近いほど、そのプロモーターの活性化にかかる反応時間が短く、またそのプロポーター活性の最大値が大きいということである。数学的な解析によると、この「ジャストインタイム」転写プログラムは、最小の酵素総生産で急速に生産ゴールにもっていくという制約下では最適のものであることが示唆されている。代謝調節ネットワークは、生産パイプラインの設計理論を適用することにより理解できような原理にもとづいて、正確なプロモーターのタイミングと活性化のプログラムを生み出すように設計されていることを、我々の発見は示唆している。

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