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DLG5の遺伝的変異が炎症性腸疾患に関連する

Nature Genetics 36, 5 doi: 10.1038/ng1345

クローン病と潰瘍性大腸炎は炎症性腸疾患(IBD)の2つの亜型であり、このIBDは遺伝子と環境の相互作用の結果起こる複雑な疾患である。以前我々がIBDとの連鎖を確認した染色体10q23領域を、さらに詳しく解析し、IBDと関連するDLG15の遺伝的変異を、ポジショナルクローニング法を用いて同定した。DLG5は上皮の統合性を維持するための足場タンパク質をコードしている。我々は、2つの別個の、再現性のある次世代への遺伝子伝達のゆがみ(IBDとの関連に関してはP=0.000023 とP=0.004、クローン病との関連に関してはP=0.00012とP=0.04)を示すハプロタイプを同定した。DLG5ハプロタイプの中で疾患リスクと関連のあるものの1つは、共通のハプロタイプと異なり、非同義型の一塩基多型113G→Aがあり、DLG5タンパク質のDUF622ドメイン中にあるR30Qアミノ酸の置換が引き起こされている。この変異によっておそらくDLG5タンパク質の足場作りが妨げられるのであろう。今回の研究サンプルを疾患リスク関連CARD15変異体の有無によって層別化し、遺伝子-遺伝子相互作用の可能性について検討した。我々は、113A DLG5変異とクローン病との関連が、CARD15遺伝子のリスク関連対立遺伝子をもつ患者と、リスク非関連対立遺伝子をもつ患者において有意に異なることを発見した。このことは、DLG5CARD15の間での遺伝子と遺伝子の複雑な相互作用パターンを示唆するもので、多因子疾患の複雑さを反映するものである。さらなる機能解析によって、DLG5タンパク質変異体の生物学的重要性が明らかになってくるであろう。

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