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SrcキナーゼLyn、HckおよびFgrはBCR-ABL1によって引き起こされる慢性骨髄性白血病には必要でなく、B細胞性リンパ芽球性白血病において必要である

Nature Genetics 36, 5 doi: 10.1038/ng1343

Ablキナーゼ阻害剤メシル酸イマチニブは、慢性期のフィラデルフィア染色体陽性(Ph +)慢性骨髄性白血病 (CML)に最もよく使用される治療薬であるが、急性転換期のCMLあるいはPh+B細胞性急性リンパ芽球性白血病(B-ALL)においては、あまり効果的ではない。本論文では、Bリンパ球系細胞において、Bcr-AblがSrcキナーゼのLyn、HckおよびFgrを活性化することを示す。3つのSrcキナーゼすべてを欠くマウス由来の骨髄にBCR-ABL1をレトロウイルスで導入すると、レシピエントマウスにおいて、B-ALLではなくCMLを効率よく引き起こした。キナーゼ阻害剤CGP76030は、in vitroにおいて、Bcr-Ablを発現しているBリンパ球系細胞の増殖を阻害し、CMLではなくB-ALLのマウスの生存を延長させた。この点において、CGP76030とイマチニブの併用は、イマチニブのみの使用より有効であった。白血病細胞におけるCGP76030の生化学的な標的はBcr-Ablではなく、Srcキナーゼであったといえる。これらの結果は、Ph+B-ALLにおいてSrcファミリーのキナーゼが治療の標的であることを示しており、SrcおよびBcr-Ablキナーゼを同時に抑制することが、Ph+急性白血病患者に有効であると示唆される。

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