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ショウジョウバエ種における遺伝子分割の機構および新しい遺伝子の起源としての遺伝子重複と退化

Nature Genetics 36, 5 doi: 10.1038/ng1338

新しい遺伝子が生みだされる主要な過程に、遺伝子の分割(1つの遺伝子が2つの別々の遺伝子に分割される)および融合(近接する2つの遺伝子が融合して1つの遺伝子になる)がある。それらの過程には可逆性があるように思われるが、遺伝子分割の機構に関しては何も明らかにされていない。分割された遺伝子の塩基配列には、その遺伝子が生みだされた過程はほとんど記録されていないので、従来の重複遺伝子の解析法は、遺伝子分割の根本的な機構を明らかにするには十分な効力を発揮しないようだ。本論文では、蛍光in situハイブリダイゼーションを使用し、ショウジョウバエ (Drosophila melanogaster)のサブグループにおいて進化的に新しい遺伝子を調査し、進化的に新しい遺伝子ファミリーであるmonkey kingを同定した。この遺伝子ファミリーの起源から、遺伝子分割の進化的な過程を明らかにすることができる。このファミリーの遺伝子は、レトロポゾンによる重複により100〜200万年前に生みだされ、多数のドメインをもつ1つの祖先遺伝子から別々のタンパク質ドメインをコードする分割遺伝子へと進化した。この過程の根本となる機構は、後に部分的な退化をともなう遺伝子重複である。

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