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PエレメントとpiggyBacを用いたショウジョウバエの相補的トランスポゾン・ツールキット

Nature Genetics 36, 3 doi: 10.1038/ng1314

ショウジョウバエDrosophila melanogasterの全ゲノム塩基配列が明らかになった現在、ハエ研究者達の次なる戦略目標の1つは、全種類の遺伝子のノックアウト個体のコレクションを作ることである。ショウジョウバエの分子遺伝学においてはPエレメントと呼ばれるトランスポゾンが重用されているが、このPエレメントはゲノムにランダムに挿入されるのではなく、挿入されやすい場所とされにくい場所の偏りが大きいことが知られている。ショウジョウバエの約13,500種類の遺伝子の相補配列のうちの87%を得るためには、最大で150,000のPエレメント挿入体を作出し解析しなければならないという推定結果も報告されている。本論文で我々は、鱗翅目のトランスポゾンであるpiggyBacとハエのPエレメントを用いて、ショウジョウバエの遺伝子をより効率的に標識および機能阻害することを可能にする新たな改良法を示す。我々がこの方法を用いて29,000以上のトランスポゾン挿入体を作出した結果、全遺伝子の53%のものの場所に挿入され、その他にも表現型にさまざまな強い影響が現れた挿入体が得られた。我々はpiggyBacが、遺伝子の標識(すなわち遺伝子の近くへの挿入)の際の大域的および局所的な振る舞いにおいて、Pエレメントとは異なる性質をもつことを発見した。とりわけ顕著な性質は、生殖細胞系からのpiggyBacの切り出しがほとんどいつも正確に起こること、挿入や切り出しが起こりやすい場所であるホットスポットはpiggyBacPエレメントで重ならないこと、そしてPエレメントは遺伝子の5'制御配列に挿入されやすいのに対してpiggyBacはそのような傾向をもたないため、piggyBacは遺伝子の機能阻害を行う上でより効果的であることである。

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