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遺伝子発現にもとづく高速スクリーニング法(GE-HTS)と白血病細胞の分化への適用

Nature Genetics 36, 3 doi: 10.1038/ng1305

ゲノム化学という分野では、小分子の巨大なコレクションをつくり、それらを用いて細胞の状態を調節するということが行われている。最近、多様な構造をもつ化合物を系統的に合成する方法が進歩してきたが、それを細胞の複雑な関係のスクリーニングに用いることに関しては未だに確立した方法論は存在しない。本論文で我々は、遺伝子発現にもとづく高速スクリーニング法(GE-HTS)と名づけた一般的かつ効果的なアプローチの概要を述べる。この方法では、遺伝子発現の特徴を示すシグネチャーを、細胞の状態を表すものとみなす。我々はまた、この方法を実際に、急性骨髄性白血病細胞の分化を引き起こす化合物の特定に適用した例を示す。我々は1739種類の化合物をスクリーニングし、分化のシグネチャーを確実にもたらす8種類を同定した。さらに、それらの化合物によって、実際に細胞の分化が引き起こされているということの機能的な証拠を得た。この結果から、GE-HTS法が化学的スクリーニングの強力かつ一般的な方法になりうることが示唆される。

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