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PTF1Aにおける変異は膵臓および小脳の形成不全を引き起こす

Nature Genetics 36, 12 doi: 10.1038/ng1475

永続型の新生児糖尿病の患者は、通常生後3か月以内に発症し、インスリン療法を必要とする。我々は最近、パキスタン人の1血縁家系のゲノム全体にわたる連鎖解析により、永続型の新生児糖尿病に関与する染色体領域10p13-p12.1を見いだした。この遺伝子座は、膵臓および小脳の形成不全に関連を示した。本論文では、この家系および同一の表現型を分離する北欧系の1家系で行った、さらなる連鎖解析について報告する。疾患を引き起こす配列変化として、膵転写因子1αをコードするPTF1A遺伝子の2つの変異、705insGとC886Tを、ポジショナルクローニングにより同定した。両変異は、発現しているPTF1Aタンパク質のC末を、塩基性ヘリックス・ループ・ヘリックスドメインにまで短縮する。最小限のPTF1A欠失変異体とレポーター遺伝子を用いた検討により、この欠失領域がこのタンパク質の機能に重要な新しいドメインであることが明らかとなった。PTF1Aは、哺乳類における膵臓の発生過程ではたらくことが知られており、また、この患者の臨床的な表現型からは、このタンパク質が小脳の神経形成の主要な調節因子であることが示唆される。小脳の正常な発生過程にPTF1Aが重要な役割を果たしていることは、Ptf1a?/?マウスの詳細な神経病理学的解析により確認された。

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