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マウス第7染色体のKcnq1ドメインに沿ったインプリンティングはヒストンメチル化による発現抑制およびポリコーム遺伝子群複合体の動員に影響する

Nature Genetics 36, 12 doi: 10.1038/ng1467

インプリンティングを受けた遺伝子は集まってドメインを形成しており、インプリンティング制御領域を介して、一方の対立遺伝子に対して発現抑制が行われる。これらのインプリンティング制御領域はDNAメチル化で標識されており、これは胚におけるインプリンティングの維持には必須である。本論文では、胎盤においてはどのようにインプリンティングが制御されているかを探るために、マウス第7染色体遠位部のKcnq1ドメインを調べた。この大ドメインは、プロモーターDNAのメチル化に関係なく、イントロンにあるインプリンティング制御領域によって調節され、胎盤でインプリンティングを受ける遺伝子を多数含んでいる。我々は、このドメインに沿った父親由来対立遺伝子の抑制は、ヒストンH3のLys27のトリメチル化とLys9のジメチル化の獲得に関係することを見いだした。Eed-Ezh2ポリコーム複合体は父親由来の染色体に動員され、ヒストンメチル化による抑制を調節している可能性が考えられる。胚性幹細胞および初期胚に関する研究結果は、抑制型のクロマチン構造が発生の初期に確立され、胎盤で維持されるという我々の提案を支持する。しかし、胚では、インプリンティングはプロモーターDNAによるメチル化のみられる遺伝子においてのみ安定に維持される。これらのデータは、胎盤でのインプリンティングにおけるヒストンメチル化の重要性を強調し、胚体外組織におけるX染色体不活性化機構との類似性を見いだすもので、2つのエピジェネティックな機構が進化的に関連していることを示唆している。

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