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ショウジョウバエにおいて、眼の成長と分化はEyegoneとEyelessによって独立に制御されている

Nature Genetics 36, 1 doi: 10.1038/ng1281

器官の大きさと形は発達の過程でどのような制御を受けるかによって決まる。「オーガナイザー」として知られる局所的なシグナルと、原癌遺伝子であるPaxファミリーのメンバーの両方が、その制御にかかわっている。Paxタンパク質はペアドドメインという進化的に保存されたDNA結合ドメインをもち、このペアドドメインが原癌遺伝子としての働きに必須と考えられている。本論文では、ショウジョウバエ Drosophila melanogasterにおいて、オーガナイザーのシグナルであるNotchが眼の成長を促進する過程に、2つのPax6転写因子、Eyeless(Ey)とTwin of eyeless(Toy)はいずれも関与していないことを示す。それらのかわりにNotchは、C末端側の領域のみからなる短縮したペアドドメインを有するEyegone(Eyg)を介してオーガナイザーとしての機能を果たす。ヒトやマウスでは、PAX6遺伝子から、選択的スプライシングによってPAX6(5a)という短縮型の産物も作られ、これはEyegoneと同じように、ペアドドメインのC末端側でDNAに結合する。ヒトPAX6(5a)をハエで過剰発現すると著しい過成長in vivoを引き起こすが、全長型のPAX6の過剰発現では成長には影響がみられない。これらの結果は、成長と眼の分化は別々の独立な制御を受けていることを示し、過形成についての新たな理解をもたらすものである。

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