Press Release

HFE2遺伝子の変異が染色体1q連鎖性の若年性ヘモクロマトーシスにおける鉄過剰の原因である

Nature Genetics 36, 1 doi: 10.1038/ng1274

若年性ヘモクロマトーシスは、常染色体劣性遺伝形式を示す早期発症の鉄過剰による疾患で、10代および20代初めの若者に認められ、結果として心筋症、糖尿病および性腺機能低下症となる。若年性ヘモクロマトーシスは、これまでに染色体1qのセントロメア領域に連鎖していることが示されているが、セントロメア領域は、ヒトゲノム塩基配列の中で解読が不完全なところである。今回我々は、若年性ヘモクロマトーシスに関連する遺伝子座のポジショナルクローニング、および鉄代謝にきわめて重要な新規遺伝子の同定について報告する。我々は、ギリシア系の複数の家系において、組換えの起きた区間を詳細にマップし、これまで機能が知られていなかった転写単位 ( LOC148738 )において、異常を引き起こす多数の変異を同定した。現在その転写単位は HFE2と命名され、そのタンパク質産物を我々はヘモジュベリン (hemojuvelin)と呼んでいる。ギリシア、カナダおよびフランスの家系の解析により、1つの変異(アミノ酸置換G320V)が3つの集団すべてにおいて認められ、見いだされた全変異のうちの3分の2をこの変異が占めることを示す。 HFE2転写産物の発現は、鉄代謝に関与する重要なタンパク質であるヘプシディン (hepcidin)の発現と同様に、肝臓、心臓および骨格筋に限られていた。若年性ヘモクロマトーシスの患者では、尿中ヘプシディン濃度が低下しており、おそらくヘモジュベリンがヘプシディン受容体ではないと考えられる。むしろ、HFE2はヘプシディンの発現を調節するものと思われる。

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