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細菌による防御を促す分子言語が拡張

細菌、植物、動物の細胞は、ウイルスの複製を検出して阻害するために、洗練されたさまざまな防御経路を進化させてきた。これらの経路の多くに共通する特徴は、ヌクレオチドを基質とする化学的メッセンジャーと呼ばれる分子を産生することであり、こうした分子は免疫応答を増幅して活性化する機能を持つ1,2。このほどセントアンドリュース大学(英国)のHaotian Chiら3は、これまで知られていなかった化学的メッセンジャーであるSAM–AMP(S-アデノシルメチオニン〔SAM〕とヌクレオチドであるATPが結合した分子)を用いる細菌防御系について、Nature 2023年10月26日号826ページで報告している。この発見は、新しいクラスのシグナル伝達分子を明らかにしたものであり、この発見によって抗ウイルス免疫の化学的な「言語」が、代謝物や細胞の補因子といった分子の豊富な「語彙」にまで拡張されることになる。

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翻訳:三谷祐貴子、要約:編集部

Nature ダイジェスト Vol. 21 No. 1

DOI: 10.1038/ndigest.2024.240146

原文

The language of bacterial defences expands
  • Nature (2023-10-18) | DOI: 10.1038/d41586-023-03149-5
  • Douglas R. Wassarman & Philip J. Kranzusch
  • 共にハーバード大学医学系大学院およびダナ・ファーバーがん研究所 (米国マサチューセッツ州ボストン)に所属。

参考文献

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  2. Slavik, K. M. & Kranzusch, P. J. Annu. Rev. Virol. 10, 423–453 (2023).
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