Research Abstract

グラフェンにおけるプラズモン伝導の時間分解電気測定

金属中のプラズモンの特性は、その構造が構築されると固定するが、グラフェン中でのプラズモンの特性は、電場または磁場によって変わることがある。今回、熊田倫雄たちは、電気的な飛行時間測定法を用いた研究で、磁場を変化させることによって、グラフェン中のプラズモン速度を幅広く調整できることを明らかにした。

Plasmon transport in graphene investigated by time-resolved electrical measurements

2013年1月15日 Nature Communications 4 : 1363 doi: 10.1038/ncomms2353

電荷の集団振動であるプラズモンを利用することにより、電磁場をナノスケールの構造体に閉じ込めることが可能となる。特にグラフェンにおけるプラズモンは、その分散関係を変化させることができ、それにより共振器の周波数を変調することができるなどの特性により、最近注目されている。しかし、プラズモン分散のキャリア密度依存性は弱く(∝n1/4)、数桁にわたる周波数の調整は困難である。今回我々は、電気的な励起と検出を利用して、ギガヘルツ領域におけるグラフェンプラズモンの時間分解測定を行った。印加する磁場の大きさやゲート金属によるプラズモン電場の遮蔽効果を調整することで、プラズモンの伝搬速度を2桁にわたって変化させることに成功した。磁場が高いとき、試料の端に局在したエッジマグネトプラズモンが形成され、その速度は磁場、キャリア密度、ゲート金属の遮蔽効果に依存して変化した。

熊田 倫雄1, 田邉 真一1, 日比野 浩樹1, 鎌田 大1,2, 橋坂 昌幸2, 村木 康二1 & 藤澤 利正2

  1. 日本電信電話株式会社 NTT物性科学基礎研究所
  2. 東京工業大学大学院 理工学研究科 物性物理学専攻
Plasmons, which are collective charge oscillations, could provide a means of confining electromagnetic field to nanoscale structures. Recently, plasmonics using graphene have attracted interest, particularly because of the tunable plasmon dispersion, which will be useful for tunable frequency in cavity applications. However, the carrier density dependence of the dispersion is weak (proportional to n1/4) and it is difficult to tune the frequency over orders of magnitude. Here, by exploiting electronic excitation and detection, we carry out time-resolved measurements of a charge pulse travelling in a plasmon mode in graphene corresponding to the gigahertz range. We demonstrate that the plasmon velocity can be changed over two orders of magnitude by applying a magnetic field B and by screening the plasmon electric field with a gate metal; at high B, edge magnetoplasmons, which are plasmons localized at the sample edge, are formed and their velocity depends on B, n and the gate screening effect.

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