Research Abstract

光による磁化のベクトル制御

光との相互作用を通じて物質をコヒーレントに操作する技術を拡張し、磁化を超高速制御に拡張する技術が最近注目されている。磁化は本来ベクトル量であるが、その運動を多次元軌道に沿って自在に操作することは重要であるがまだ実現されていない。

The vectorial control of magnetization by light

2011年6月21日 Nature Communications 2 : 362 doi: 10.1038/ncomms1366

光との相互作用を通じて物質をコヒーレントに操作する技術を拡張し、磁化を超高速制御に拡張する技術が最近注目されている。磁化は本来ベクトル量であるが、その運動を多次元軌道に沿って自在に操作することは重要であるがまだ実現されていない。本論文では、偏光のねじれたフェムト秒レーザーパルス対を用いることで、磁気振動を二次元的に操作できることを実証する。NiO結晶にフェムト秒パルス光を照射すると、ラマン型の非線形光学過程を介して、初期位相が制御された反強磁性共鳴振動を誘起できる。この磁気振動は縮退した2つの共鳴モードを持つ。振動方向は、結晶の対称性によって決まる選択則により、照射する光パルスの偏光方向と関係付けられる。ここで、偏光方向が時間的に変化するパルスを照射すると、磁気振動の方向、振幅、位相を独立に制御することができる。この結果は、光による磁化のベクトル制御という新たな概念を提示するものである。

神田 夏輝1,樋口 卓也1,清水 裕勝1,小西 邦昭1,2,吉岡 孝高1,3 & 五神 真1,2,3

  1. 東京大学大学院工学系研究科物理工学専攻 / CREST
  2. 東京大学大学院工学系研究科附属光量子科学研究センター
  3. 東京大学大学院理学系研究科物理学専攻
Application of coherent light–matter interactions has recently been extended to the ultrafast control of magnetization. An important but unrealized technique is the manipulation of magnetization vector motion to make it follow an arbitrarily designed multidimensional trajectory. Here we demonstrate a full manipulation of two-dimensional magnetic oscillations in antiferromagnetic NiO with a pair of polarization-twisted femtosecond laser pulses. We employ Raman-type nonlinear optical processes, wherein magnetic oscillations are impulsively induced with a controlled initial phase. Their azimuthal angle follows well-defined selection rules that have been determined by the symmetries of the materials. We emphasize that the temporal variation of the laser-pulse polarization angle enables us to control the phase and amplitude of the two degenerate modes, independently. These results lead to a new concept of the vectorial control of magnetization by light.

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