Research Abstract

新規なシアル酸誘導体はA型インフルエンザウイルスのグループ1シアリダーゼ中の150-ループを開いた状態に固定する

本研究では、シアル酸をベースとする複数の新規誘導体が、この構造的差異を利用して、グループ1シアリダーゼの活性を選択的に阻害できることを、多くの分野にわたる手法を使って示す。

Novel sialic acid derivatives lock open the 150-loop of an influenza A virus group-1 sialidase

2010年11月16日 Nature Communications 1 : 113 doi: 10.1038/ncomms1114

インフルエンザウイルスのシアリダーゼは、ウイルスの生活環に不可欠の役割をもっている。A型インフルエンザウイルスのシアリダーゼは2つのグループに分 けられることがわかっており、これらの間では「150-ループ」の柔軟性が異なっている。この違いによって、グループ1のアポ酵素の活性部位は、グループ 2の酵素のそれよりも開いた形となる。本研究では、シアル酸をベースとする複数の新規誘導体が、この構造的差異を利用して、グループ1シアリダーゼの活性 を選択的に阻害できることを、多くの分野にわたる手法を使って示す。また、インフルエンザウイルスの薬剤耐性型変異株に由来するグループ1シアリダーゼ が、このようにして設計された化合物群に感受性を示すことも明らかにする。さらに、タンパク質のX線結晶学的解析により、この阻害剤はグループ1シアリ ダーゼの柔軟性のある150-ループを開いた状態に固定することもわかり、これは我々の分子モデル予測と一致していた。今回の結果は、新型インフルエンザ ウイルス(パンデミックA/H1N1)、鳥インフルエンウイルスA/H5N1や、グループ1型シアリダーゼを含むその他のウイルスを選択的に標的とする化 合物が、シアリダーゼ150-ループの開いたコンホメーションに基づいて開発可能であることを示す、最初の直接的証明である。

S Rudrawar1 et al.

  1. グリフィス大学(オーストラリア)
Influenza virus sialidase has an essential role in the virus' life cycle. Two distinct groups of influenza A virus sialidases have been established, that differ in the flexibility of the '150-loop', providing a more open active site in the form of the group-1 compared to group-2 enzymes. In this study we show, through a multidisciplinary approach, that novel sialic acid-based derivatives can exploit this structural difference and selectively inhibit the activity of group-1 sialidases. We also demonstrate that group-1 sialidases from drug-resistant mutant influenza viruses are sensitive to these designed compounds. Moreover, we have determined, by protein X-ray crystallography, that these inhibitors lock open the group-1 sialidase flexible 150-loop, in agreement with our molecular modelling prediction. This is the first direct proof that compounds may be developed to selectively target the pandemic A/H1N1, avian A/H5N1 and other group-1 sialidase-containing viruses, based on an open 150-loop conformation of the enzyme.

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