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bHLHのDNA結合ドメインに由来するモジュール式の合成転写抑制因子によるMYCの標的化

Nature Biotechnology 41, 4 doi: 10.1038/s41587-022-01504-x

転写因子(TF)は、疾患への関与が明らかでありながら、タンパク質同士およびタンパク質・DNA間の相互作用の標的化に課題があるため、薬理学的な標的としてはほとんど利用されていない。本論文では、MAXのbHLHドメインに由来するモジュール式の合成転写抑制因子(STR)を得るための化学的戦略を紹介する。この合成方法により、MYCおよびMAXのコンセンサスE-boxモチーフにナノモルレベルの親和性で協調的に結合し、完全長のTFと同等またはそれ以上の特異性を示し、DNA結合に関してMYC/MAXタンパク質と直接競合する化学的に安定化された三次構造ドメインの模倣物群が得られた。あるリードSTRは、細胞内でMYCの結合を直接阻害し、MYC依存性の発現プログラムをプロテオームレベルで下方制御し、MYC依存性の細胞増殖を阻害した。STR:E-box DNA複合体の共結晶化および構造解析により、完全長のbHLH TFとほぼ同じDNA認識が保持されていることが確認された。また、別のbHLH-TFに由来するSTRの構造を問わない設計も実証され、他の遺伝子調節エレメントを標的とする特異性の高いTF模倣物がSTRを用いて開発可能であることが裏付けられた。

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