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穂数と一穂粒数の分離による遺伝子調節エレメントの標的化が米穀収量を増加させる

Nature Biotechnology 40, 9 doi: 10.1038/s41587-022-01281-7

作物の遺伝的改善では、遺伝子の多面発現およびリンケージドラッグによって生じる複雑なトレードオフのバランスをとる必要がある。例えば、IPA1Ideal Plant Architecture 1)はイネの典型的な多面発現遺伝子で、一穂粒数を増加させるが分げつを減少させる。本研究では、tiling deletion法に基づくCRISPR–Cas9スクリーニングにより、IPA1の54塩基対のシス調節領域を特定した。この領域が削除されると、一穂粒数と分げつ数のトレードオフが解消され、1株当たりの穀粒収量が大幅に増加する。機構を調べると、削除される断片は、穂および根のIPA1発現を抑制する転写因子An-1の標的部位であることが明らかになった。遺伝子調節領域の標的化はトレードオフ効果の精査に有用であり、有益な相補的形質の育種のための豊富な標的源をもたらすと考えられる。

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