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MUSEによる細胞の形態と転写状態の統合的空間解析

Nature Biotechnology 40, 8 doi: 10.1038/s41587-022-01251-z

空間トランスクリプトミクスは、同一細胞または組織内同一領域の形態的特徴および転写プロファイルを同時に評価することができる。本論文で紹介するMUSE(multi-modal structured embedding)は、形態データと空間分解転写データとを統合することによって細胞および組織領域を調べる手法である。MUSEでは、いずれかのモダリティーで見逃される組織亜集団が発見されるとともに、モダリティー特異的なノイズが抑制されることが示された。我々は、空間トランスクリプトミクス(seqFISH+、STARmap、またはVisium)および画像化(ヘマトキシリン・エオジンまたは蛍光顕微鏡法)の各モダリティーを含む多様なデータセットにMUSEを応用した。健康な脳皮質および腸組織では、生物学的に意味のある組織亜集団および定型的な空間パターン形成がMUSEで見いだされた。病変組織では、腫瘍領域への近さに関する遺伝子バイオマーカー、およびアルツハイマー病の脳領域全体にわたるアミロイド前駆体タンパク質プロセシングの不均一性が発見された。MUSEは多層的データの統合を可能にし、複雑な生物組織の細胞の状態、機能、および構成に関する知見をもたらす。

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