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CAR-T細胞をin vivoで迅速に生成して放出する生体誘導性の埋植型足場

Nature Biotechnology 40, 8 doi: 10.1038/s41587-022-01245-x

B細胞悪性腫瘍のキメラ抗原受容体(CAR)-T細胞療法は、臨床的に成功してはいるものの、時間、コスト、および労力がかかるex vivoの作製手順によって制限されており、組成の不均一な細胞産物が生じる恐れもある。本論文では、in vivoのCAR-T細胞生成を合理化して処理時間を1日に短縮する埋植型のMASTER(Multifunctional Alginate Scaffold for T Cell Engineering and Release)を紹介する。MASTERは、ヒト末梢血単核細胞およびCD19をコードするレトロウイルス粒子とともに播種すると、ウイルスベクターを介した遺伝子移入に適切な界面を提供し、マウスの皮下に埋植すると機能性CAR-T細胞の放出を生じた。さらに、リンパ腫のマウス異種移植片モデルでは、in vivoで生じたCAR-T細胞が血流に入って遠隔腫瘍の増殖を抑制することも示され、従来のCAR-T細胞を上回る持続性が認められた。MASTERは、生成を迅速化し、潜在的にはこのタイプの治療法の複雑さを緩和してその提供に必要な資源を減少させることにより、CAR-T細胞療法を変容させることが期待される。

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