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哺乳類トランスクリプトーム全体のm6A RNA修飾を1塩基分解能で測定する

Nature Biotechnology 40, 8 doi: 10.1038/s41587-022-01243-z

RNAのN6-メチルアデノシン(m6A)修飾の機能研究は、トランスクリプトーム全体の個々のm6A修飾部位をマッピングすることができないために進展していない。そうした研究を可能にするべく、本論文ではm6A-SAC-seq(m6A-selective allyl chemical labeling and sequencing)を紹介する。これは、m6Aの定量的な全トランスクリプトームマッピングを1塩基分解能で行う方法である。この方法は、約30 ngのポリA RNAまたはrRNA除去RNAしか必要としない。我々は、細胞系列に由来するRNA、およびヒト造血幹・前駆細胞(HSPC)からのin vitroの単球形成中のRNAに関して、m6A修飾の化学量論のマッピングを行った。その結果、細胞分化中のメチル化状態が極めて動的な細胞状態特異的m6A部位が無数に発見された。また、HSPCの分化に欠かせない重要な転写因子をコードする転写物、またはそうした転写因子による調節を受ける転写物に関して、発現レベルとともにm6Aの化学量論が変化することが観察された。m6A-SAC-seqは、わずかな量のRNAを用いて多様な生物学的過程におけるm6A部位の動態および機能的役割を定量的に分析する方法である。

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