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キイロタマホコリカビの改変によるカンナビノイド前駆体などのポリケタイドの生合成

Nature Biotechnology 40, 5 doi: 10.1038/s41587-021-01143-8

芳香族ポリケタイドは、幅広い薬理活性を有する天然のポリフェノール化合物である。これらの代謝物をモデル生物の大腸菌(Escherichia coli)や酵母(Saccharomyces cerevisiae)で生産することは、ポリケタイドやその前駆体の協調的な生合成に大規模な細胞操作が必要となるために、妨げられてきた。これに対し、アメーバのキイロタマホコリカビ(Dictyostelium discoideum)は二次代謝物の先天的生産者であり、ポリケタイドとテルペノイドを生合成するための幅広い遺伝子レパートリーを有しているが、ほとんど未開拓である。本論文では、キイロタマホコリカビが芳香族ポリケタイド生産に有用な基盤となることを明らかにする。キイロタマホコリカビで天然および同種の植物型ポリケタイド合成酵素の遺伝子を発現させることにより、フロロカプロフェノン(phlorocaprophenone)、メチル-オリベトール、レスベラトロール、オリベトール酸(OA;カンナビノイド生合成の中心的中間体)が生成することが示された。また、OAの合成を促進するために、我々は2段階の酵素反応で一次代謝物からOAを生成するアメーバ/植物界間ハイブリッド酵素を作製し、キイロタマホコリカビ宿主系によるカンナビノイド合成経路の近道を得た。

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