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Higashiによるマルチスケールの統合的な単一細胞Hi-C解析

Nature Biotechnology 40, 2 doi: 10.1038/s41587-021-01034-y

単一細胞Hi-C(scHi-C)法は、三次元クロマチン構造の細胞間多様性を明らかにすることができるが、測定される相互作用が少ないことが解析の課題となっている。本論文では、単一細胞間の隠れた相関関係を統合してコンタクトマップの全体的な補綴を強化することができる、ハイパーグラフ表現学習に基づくアルゴリズム、Higashiを報告する。Higashiは、scHi-Cデータの埋め込みと補綴を行う既存の方法よりも優れており、区画化やTAD様ドメイン境界など、単一細胞ゲノムのマルチスケールの三次元的特徴を明らかにして、その細胞間多様性の細かな描写を可能とする。また、同一細胞で併せてプロファイリングされるエピゲノムシグナルを、2つのモダリティーの個別の解析とは対照的に、ハイパーグラフ表現学習の枠組みに統合することができ、単一核メチル3Cデータの埋め込みの改善を導く。ヒト前頭前野のscHi-Cデータセットでは、ゲノムの三次元的特徴と細胞タイプ特異的な遺伝子調節との関連性を明らかにした。また、単一細胞の多元的クロマチン相互作用と他の多層的単一細胞オミクスデータの解析にも拡張できる可能性がある。

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