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k最近傍グラフによる単一細胞データの差次的存在量分析

Nature Biotechnology 40, 2 doi: 10.1038/s41587-021-01033-z

単一細胞データセットの比較解析を目的とする従来の計算ワークフローでは、実験条件間の差次的存在量を分析する場合に個別のクラスターを入力として用いるのが一般的である。しかし、クラスターは適切な分解能をもたらすとは限らず、連続的な経路を捕捉することもできない。今回我々は、k最近傍グラフ上の部分的に重複する近傍領域に細胞を割り当てることによって差次的存在量分析を行う拡張可能な統計的枠組みMiloを紹介する。我々は、シミュレーションと単一細胞RNA塩基配列解読(scRNA-seq)データを用いて、Miloが、細胞をクラスターに離散化したために不明瞭になった変化を発見できること、さまざまなバッチ効果に対して偽発見率制御を維持していること、そして他の差次的存在量分析法よりも優れていることを明らかにした。Miloは、加齢マウス胸腺の運命が偏った上皮前駆細胞の減少を明らかにし、ヒト硬変肝の複数系統の変化を発見した。Miloは細胞間相似構造に基づいているため、scRNA-seq以外の単一細胞データにも応用できる可能性がある。MiloはオープンソースのRパッケージとしてhttps://github.com/MarioniLab/miloRで一般公開されている。

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