Article

未アノテーションタンパク質が広げるがんのMHC-I拘束性イムノペプチドーム

Nature Biotechnology 40, 2 doi: 10.1038/s41587-021-01021-3

MHC-I上に提示され、がん細胞に対して免疫系を活性化させることができる腫瘍関連エピトープは、一般にゲノムのアノテーションされたタンパク質コード領域から見いだされるが、新規または未アノテーションのオープンリーディングフレーム(nuORF)に由来するペプチドが抗腫瘍免疫応答に寄与し得るかは不明である。本論文では、悪性検体と健常検体のリボソームプロファイリングによって検出されたnuORFに由来するペプチドががん細胞のMHC-I上に提示され、がん抗原の新たな供給源となることを明らかにする。我々は、各種組織で翻訳されているnuORFの信頼度の高いデータベースを構築し(nuORFdb)、それを用いてMHC-Iイムノペプチドームの質量分析から3555の翻訳nuORFを検出した。この中には、がん検体のnuORFの体細胞変異に加えて、黒色腫、慢性リンパ性白血病、神経膠芽細胞腫で翻訳されている腫瘍特異的なnuORFから生じたペプチドが含まれる。nuORFには、免疫療法の標的となり得る腫瘍特異的なMHC-I提示ペプチドが眠っている。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度