Review Article

mRNA治療薬の可能性を開く

Nature Biotechnology 40, 11 doi: 10.1038/s41587-022-01491-z

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するmRNAワクチンの大成功で、治療用タンパク質を送達する手段としてのmRNAに再び関心が集まっている。mRNA治療薬の初期の臨床試験には、心不全に対するパラクリン血管内皮細胞増殖因子(VEGF)のmRNAや、先天性の肝特異的蓄積症に対するCRISPR–Cas9のmRNAなどの試験がある。しかし、mRNAが希少疾患と非希少疾患の両方に幅広く関連する一般的な治療方式として確立されるには、複数の未解決課題が残されている。そうした課題の克服に向けては、mRNAカーゴを最適化する手法、固有の組織親和性を持つ脂質担体、およびin vivoの経皮送達法など、数々の新技術が開発されつつある。このような進歩を的確に組み合わせることで、多様な臨床適応症の治療に向けて、ワクチンやその他の免疫賦活剤以外にも、生物学的に的が絞られたmRNA治療薬の可能性が開かれると考えられる。

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