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15種類のがんで腫瘍細胞の総mRNA発現量を推定してがんの進行を予測する

Nature Biotechnology 40, 11 doi: 10.1038/s41587-022-01342-x

腫瘍の表現型と総mRNA量が相関することを、単一細胞RNA塩基配列解読研究が示唆している。しかし、これまでのところ、技術上および解析上の課題が大規模な総mRNA量の汎がん検査を妨げている。本論文では、腫瘍転写物の比率、純度、および倍数性を考慮してバルクの塩基配列解読データから腫瘍特異的な総mRNA発現量(TmS)を定量化する方法を紹介する。それはトランスクリプトームとゲノムのデコンボリューションによって推定を行う。我々は、15種類のがんの患者6590例の腫瘍に関してTmSの推定および検証を行い、腫瘍間の大きな変動を見いだした。全てのがんで、高いTmSはがんの進行および死亡のリスク増大と関連していた。TmSは、がん特異的な遺伝子変化のパターンおよび腫瘍内の遺伝的不均一性とともに、代謝調節不全の汎がん的な傾向による影響を受けていた。以上のことから、腫瘍細胞の細胞型特異的な総mRNA発現量の測定によって腫瘍の表現型および臨床転帰が予測されることが示された。

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