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2つの抗原を共発現する細胞に選択的に作用する論理ゲート抗体ペア

Nature Biotechnology 40, 10 doi: 10.1038/s41587-022-01384-1

治療用モノクローナル抗体は、単一の抗原標的では病変組織と健常組織とを区別するのに十分な選択性が得られない場合が多いため、利用が進んでいない。今回紹介するHexElect®️は、同一標的細胞上に発現した2種類の抗原に結合した後のクラスター化に治療用抗体の活性を依存させることで、当該抗体の機能選択性を強化する方法である。免疫グロブリンG(IgG)による膜受容体のクラスター化が細胞表面で自然に生じ、補体または細胞を介するエフェクター機能を引き起こしたり、細胞内シグナル伝達を開始させたりする。我々は2種類のIgG抗体のFcドメインを改変し、それぞれの抗体のホモオリゴマー化を抑制する一方で、共発現する抗原との結合後に両者が対をなすヘテロオリゴマー化を促進した。そのヘテロオリゴマーに補体成分C1qが動員されると、補体を介した標的細胞の殺傷や細胞表面の受容体の活性化などのエフェクター機能がクラスター化依存的に活性化することが示された。HexElectは、まだ調べられていない可能性のある固有の組み合わせの表面抗原を発現する標的細胞で選択的に抗体を作用させるものである。

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