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メタゲノムデータから集団のミクロ多様性をプロファイリングして共通の微生物株を高感度で検出するinStrain

Nature Biotechnology 39, 6 doi: 10.1038/s41587-020-00797-0

共存する同一種の微生物細胞は、栄養素の選好性から病原性までさまざまな表現型に影響を及ぼし得る遺伝的多様性を示すことが多い。本論文では、メタゲノムのペアリードを用いてゲノム全体にわたる集団内遺伝的多様性(ミクロ多様性)をプロファイリングし、ミクロ多様性を意識した形で微生物集団を比較するプログラムであるinStrainを紹介する。この方法は、既存の方法を基準として評価すると、ゲノム比較の正確度が大幅に高い。inStrainを用いて新生未熟児の1000以上の糞便メタゲノムをプロファイリングした結果、きょうだい同士は血縁関係のない乳児同士よりも有意に多くの株を共有するが、一卵性双生児の共有する株が二卵性のきょうだいの場合よりも多いわけではないことが明らかになった。帝王切開分娩児は、保有するKlebsiella属細菌のヌクレオチド多様性が経膣分娩児よりも有意に高く、母親のマイクロバイオームではなく病院からの獲得を反映している可能性がある。個々の乳児で多様性を示すゲノム座位には別の乳児の間に見られるバリアントが含まれ、病院に関連する多様な起源からの導入を反映しているとも考えられる。inStrainは、ミクロ多様性解析と厳密な微生物株比較に関して、あらゆるメタゲノムデータセットに応用可能である。

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