Letter

機械学習によるAAVキャプシドタンパク質の深層多様化

Nature Biotechnology 39, 6 doi: 10.1038/s41587-020-00793-4

現在の実験技術では大量の生物由来塩基配列を調べることができるが、改変タンパク質ライブラリーが天然タンパク質ファミリーの塩基配列多様性を超えることはほとんどない。生物物理学的なモデル化によらずに実験データで直接訓練された機械学習モデルは、改変タンパク質の最大限の多様性にアクセスする一法となる。今回我々は、深層学習を適用して、外来DNAを組み込んでも機能する極めて多様なアデノ随伴ウイルス2(AAV2)キャプシドタンパク質バリアントの設計を行った。我々は、28アミノ酸のセグメントに着目し、11万689種類の機能性改変キャプシドを生じる20万1426のAAV2野生型塩基配列バリアントを得た(うち5万7348は天然AAV血清型塩基配列の平均多様度を上回り、同領域全体に12~29の変異を含む)。ディープニューラルネットワークモデルは、限定的なデータで訓練した場合でも、多様なバリアントにわたってキャプシドの機能性を正確に予測した。この手法は、機能性でありながらこれまで手が届かなかった塩基配列空間の広大な領域の扉を開くものであり、改良型のウイルスベクターやタンパク質治療薬の作製に多くの応用が考えられる。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度