Article

ナノポアロングリードによるアイソフォーム特異的なRNA構造の解明

Nature Biotechnology 39, 3 doi: 10.1038/s41587-020-0712-z

ショートリード塩基配列解読によってRNA構造を決定する従来の方法では、異なる転写物アイソフォームの間の差異がほとんど捕捉されない。今回我々は、ナノポア塩基配列解読を用いたRNA構造解析法(PORE-cupine)を紹介する。PORE-cupineは、化学修飾を用いる構造探索を、直接的なロングリードRNA塩基配列解読および機械学習と組み合わせることで、細胞RNAの二次構造を検出する。PORE-cupineは、RNA結合タンパク質の結合部位や一塩基バリアントの反応性の差など、全体的な構造的特徴も捉える。我々は、同一遺伝子の異なる転写物アイソフォームに共通する配列が別々の構造に折り畳まれる場合があることを示す。これは、フェーズの情報を得るにはロングリード塩基配列解読が重要であることを明確に示している。また我々は、同一遺伝子の転写物アイソフォームの構造的差異が翻訳効率の差につながることも実証した。PORE-cupineは、アイソフォームに特有のRNA構造を明らかにすることにより、遺伝子調節の制御における構造の役割の理解を深めるものと考えられる。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度