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ヒトゲノムの染色体規模のハプロタイプ別アセンブリー

Nature Biotechnology 39, 3 doi: 10.1038/s41587-020-0711-0

ハプロタイプを分けた、すなわちフェージングを行ったゲノムアセンブリーでは、ゲノムとその複雑な遺伝的変動の全体像が得られる。しかし、フェージングされたアセンブリーのための既存のアルゴリズムは、染色体規模のフェージングが得られなかったり、家系情報を必要としたりするため、その応用に限界がある。本論文では、DipAsm(diploid assembly)と命名した方法を紹介する。この方法は、一個人に関する正確なロングリードと長距離のコンホメーションデータを用いて、フェージングを行った染色体規模のアセンブリーを1日以内に生成する。公開されている4例のヒトゲノム(PGP1、HG002、NA12878、HG00733)にDipAsmを用いてハプロタイプ別のアセンブリーを行ったところ、既知のゲノムの50%をカバーするのに必要な最短のコンティグ長(NG50)は25Mbに達し、ヘテロ接合部位の約99.5%が98~99%の正確度でフェージングされた。これは、連続性とフェージングの完全性の両面で、他の方法より優れている。我々は、数千の新たなトランスポゾン挿入を含む構造バリアント、そして、ヒト白血球抗原(HLA)やキラー細胞免疫グロブリン様受容体(KIR)領域などの多型性が高く医学的に重要な領域の発見には、染色体規模でフェージングされたアセンブリーが重要であることを実証している。DipAsmは、質の高い精密医療や、個々のハプロタイプの多様性や集団の多様性に関する研究を促進すると考えられる。

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